2018年ノーベル平和賞を受けた人権活動家で医師のデニ・ムクウェゲさん。その信念について、ジェンダー問題に積極的に取り組む女優エマ・ワトソンさんがインタビューしています。エマさん自身の言葉も含めて、ハイライトで勉強しましょう。
内戦の続くコンゴ民主共和国で、性暴力の被害にあった女性たちの治療にあたるデニ・ムクウェゲさんは、これまでに4万人以上のレイプサバイバーを治療してきた産婦人科医です。紛争地域での性暴力は、「兵器」として用いられていて(rape as a weapon of war)、夫や子どもの前でレイプする、レイプした後に銃で女性の性器を撃ち抜くといった行為はもはや「テロ」(a form of terrorism)だとデニ医師は話しています。
インタビューの中ほど、エマ・ワトソンさんのこの質問からまず聴き取りを始めましょう。暗殺のターゲットにされ、一度は亡命したデニ医師が、なぜまたコンゴに戻る決意をしたのか。( )の中を書き取ってください。
*このインタビューには字幕がついているので、聴き取りの際は文字を追わず、デニ医師とエマさんの表情に注目して聴いてください。
Emma : But specifically I would ask, you know, how do you find the courage and the ( 1 ) in the face of all of this to just keep going ? You’ve just, it’s remarkable to me that even after this ( 2 ) on your life, you decided to go back to the DRC. You decided to return to Panzi Hospital and continue doing this work. And I’m just astounded by that. Could you talk a little bit about… What ( 3 ) you the strength to make decisions like this and to be able to do this awe-inspiring work ?
特にお聞きしたいのは、このような中で仕事を続けるための勇気と力を、どうしたら見いだせるのかということなんです。あなたの命を奪おうとする企ての後でさえ、あなたはコンゴに戻られる決心をされました。すごいことですよね。パンジー病院に戻ると決意された。それが、私には驚くべきことに思えます。そのことについて少しお話いただけますか? 何があなたに、この畏れを感じるほどの素晴らしいお仕事を続ける力を与えているんでしょうか?
*DRC=(Democratic Republic of the Congo)コンゴ民主共和国
デニ医師の答えの後半を聴いて、( )の中を書き取ってください。
Denis : Coming at the hospital in the condition that I’m ( 4 ) them, most of the time I have impression that they will never stand up again. I have impression that they are destroyed forever. And when you are ( 5 ), you have just impression that you are doing what you have to do, but what will be, the impact on them. So, but let me tell you that I was so surprised to see that when women wake up, they don’t wake up for themselves. Even if they come ( 6 ) in the hospital, or even if you make operation under anesthesia, when they wake up, the first question is “How are my children ? ” “How is my family ? ” ” Where is my husband ? ” And for me, this is really to think about others when you are ( 7 ) and people around you have impression that there is no hope for you, but you’re still thinking about others. This is something that touch me a lot when it come to women and their attitude.
(性暴力を受けた女性たちを)病院に受け入れたときには、多くの場合、この人はもう二度と立ち直れないだろうという印象をもちます。完全に壊されてしまったと。治療をしていても、するべきことをしながらも、この女性はいったいどうなるのだろうと思ってしまうのです。でも、このことはぜひ言わせてください。そんな女性が目を覚ますときには、自分自身のために目覚めるのではないのです。意識を失った状態で病院に来ても、あるいは全身麻酔で手術をしていても、女性たちが目覚めたときの最初の質問は、「子どもたちは大丈夫ですか?」「家族はどうしていますか?」「夫はどこにいますか?」自分が苦しんでいるときに、他の人のことを考える。周りの人が、この女性にはもう希望がないのではないかと考えているようなときに、自分のことではなく他の人のことを思いやる。これが、女性に関して私が最も感動するところなのです。
デニ医師はこの後に続けて、『私は男性も治療していますが、彼らが目覚めて聞くのは、僕の手はどうなる? 私はまた歩けるようになるか? ということです。女性とは全く違う』と話して会場の笑いを誘っていました。そして、『自分のしていることは、女性の果たす役割に比べて、とても小さい。どんな場合でも他の人のことを思いやれる女性の存在が、仕事を続ける力になっている』と語って、会場からは拍手が起こり、エマさんはしばらく言葉が出ないほど感動していました。
※有料会員限定部分には、聴き取りの答えと解説、エマ・ワトソンさん自身の想いを語った部分の解説を載せています。ぜひご利用ください。質問もお待ちしています。
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