2017年10月25日、アメリカの下院歳出小委員会で公聴会が開かれました。そこで冒頭陳述をおこなったのが、ダウン症をもっているフランク・スティーブンスさん。「私の人生には生きる価値がある」と語った力強いスピーチをお聴きください。
[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=yQJEoRhkapw” title=”Frank Stephens’ POWERFUL Speech On Down Syndrome” duration=”7M14S” /]
アメリカの議会では、常任委員会の小委員会で、民間の関係者を呼んで証言を聞くということをひんぱんにおこなっているそうです。それを参考に政策の方針を決めたり、予算を割り振ったりするわけですが、この日登壇したフランクさんは、俳優であり、スペシャルオリンピックのアスリートで、ダウン症の財団の役員でもあります。( )の単語が聴き取れるように注意して、スピーチの最初の部分をお聴きください。
Mr. Chairman and members of the ( 1 ), just so there is no confusion, let me say that I am not a research scientist.
However, no one knows more about life with Down syndrome than I do. Whatever you learn today, please remember this, I am a man with down syndrome and my life is ( 2 ) living.議長および委員会のメンバーの皆さん、混乱のないように一応申し上げておきます。私は科学研究員ではありません。(笑)
でも、ここにいる誰よりも、ダウン症を持って生きる人生について知っています。今日、何か学んでいただけるとしたら、これだけは覚えておいてください。私はダウン症です。そして私の人生は生きるに価するものです。
彼の証言に先立って、2017年8月アメリカCBSニュースの番組でアイスランドの出生前診断のことが取り上げられ、論議を呼んでいました。アイスランドでは、妊婦の80から85パーセントが出生前スクリーニングを受け、胎児がダウン症の可能性が高いとなると、ほぼ100パーセントの人が中絶しているというドキュメンタリーです。福祉国家デンマークも、ダウン症の胎児の中絶率は98パーセント。フランクさんの証言はまさに、アメリカが今後、どのような方向に進んでいくのかを決める大事なものだったのです。フランクさんの次の言葉に胸をつかれます。
Sadly, across the world, a notion is being sold that maybe we don’t need research concerning Down Syndrome. Some people say prenatal screens will identify Down Syndrome in the womb and those pregnancies will just be ( 3 ). It’s hard for me to sit here and say those words.
悲しいことに、世界では、ダウン症の研究はもう必要ないという考え方が出てきています。出生前スクリーニングでダウン症の胎児だということがわかったら、中絶してしまえばいいのだと言う人たちがいます。ここに座ってこのような言葉を紹介するだけでも、私には辛いことです。
<関連サイト>
Powerful Speech on Down Syndrome Goes Viral ジェローム・ルジューヌ財団の記事
Frank Stephens ウイキペディアの記事
※有料会員限定部分では、聴き取りの答えと解説、フランクさんのスピーチの続きを紹介しています。筆者の試訳つきです。ぜひご利用ください。
<有料会員限定部分の小見出し>
■聴き取りの答え~に価するという言い方~
■スピーチ全文(松中みどり試訳つき)